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2006年6月21日 (水)

僕らはいつも星空を眺めていたⅢ

『僕らはいつも星空を眺めていた』 -裏庭の天体観測所-

チャールズ・レアード・カレア著

北澤和彦訳

ソフトバンク・クリエイティブ出版

ひきつづき引用してみよう。

5月

 裏庭の天文家はひたすら見あげるだけで、そういったわびしさは感じない。観念論者のように天地創造の奇跡をながめ、海賊のように自分たちの猟場も見る。おとめ座銀河団は、望遠鏡のなかの貴重な宝庫である。多くの銀河はほの暗い。とくに、現代の光害に汚染された空ごしに見るとそうなってしまう。周知のことであるが、小口径の望遠鏡でそういった銀河を見るのはむずかしい。わたしはすぐにその事実を学んだ。

 おとめ座は、しし座の尾であるデネボラのすぐ南東、円形の区域にひろがっている。おとめ座は一週間にわたってわたしを苦しめている。その位置を知らないからではなく、よく見えないのだ。はっきりしないものを見つけるときは暗さが重要だし、きちんと順応した眼は不可欠だ。暗闇で一時間も眼を使っていると、テレビばかり見ている眼にはない敏感さが得られる。観測者にはきわめてするどい視力が必要である。しかし、わが家は十分に暗くない。ありとあらゆる窓から光がもれていて、家族の半分は眠っているはずなのに、ぼんやりと影を投げかけているようだ。

「読書ランプを消してくれ」わたしは娘の部屋に向ってわめく。

「消えてるわよ」娘は窓から叫びかえす。

窓がさらにひらく。「もうみんな消したわよ」

わたしは見あげる。彼女の部屋はたしかに真っ暗だ。

「暗いのね。そんなところで見えるの、パパ?」

見えた。アイピースのなかに、最初の二つ三つの断片、数条の光が見えてきて、やがて楕円形のにじみがあらわれる。おとめ座の奇妙なかたちをした銀河、M87である。

(中略)

 わが娘はまだ窓辺にいる。

「あれは恒星なの?惑星なの?」

彼女は木々のあいだを指さし、四つの星を数えた。

「惑星だよ」

だが、ひとつは消えていた。水星は一時間まえに見えなくなっていた。

「太陽系の半分がならぶなんて」と、わが娘はいう。「不思議ね」

淡い銀河を見る時、いかに周囲の明るさを避けるか、いかに眼を暗やみに慣らすか、それなりの工夫をしまたじっくりと見てしまう。・・・娘さんは四つ目の水星を見たのだろうか?だとしたら、最初から部屋の明かりを消していたにちがいない。

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