2006年5月24日 (水)

告別

家族の死に接し、昨日葬儀が済んだところ・・・。

今日になって、ふと脳裏にグスタフ・マーラーの交響曲「大地の歌」が流れている。気持ちが落ち着いてきたので、次のCDを聴いてみた。

  グスタフ・マーラー「大地の歌」

  アルト、テノール独唱と大オーケストラのための交響曲

  第6楽章「告別」

 (作詞:孟浩然と王維、ハンス・ベトゲの詩集「シナの笛」から)

  ジュゼッペ・シノーポリ指揮

  ドレスデン・シュターツカペレ

  イリス・ヴェルミヨン(アルト)

この演奏はとても良い!

浄化されたような美しい音楽。それでいて、鋭くえぐるような表情を備えている。指揮者の個性を抑えて、ドレスデンの世界最古のオーケストラの魅力を引き出した演奏になったためだろう。この演奏には死を感じさせる。しかしそれは、恐怖に慄くような退廃的な死ではなく、浄化された美しい死・・・。一言で言えば、“極楽浄土“・・・。

マーラーは、常に死に対する恐怖を抱き、この「大地の歌」は、第9番の交響曲になるはずだったが、ベートーヴェンが第9番を作曲してこの世を去ったことを意識して、番号なし「大地の歌」と名付けたいきさつがあると言われている。第6楽章「告別」、原詩ではある友との別れを詠ったものだが、マーラーは詩を改変して、忍び寄る死の影のもとでの諦観、彼岸への憧れ・・・と、友との別れは現世への別れに転化されてしまっている。30分もかかる第6楽章だが、その最後、まさにこの世との告別・・・。楽譜には「死に絶えるように」と記されている。オーケストラに加えられたギターとマンドリンの間奏とともに、アルトのうた Ewig…ewig…と、寄せては返す音楽とともに、本当に魂が消えていくようだ・・・。

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2006年5月14日 (日)

内田光子の“皇帝”

ベートーヴェン、ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」

内田光子(ピアノ)

クルト・ザンデルリンク指揮、バイエルン放送交響楽団

Uchida

今年のサイトウ・キネン・フェスティバルでは、内田光子が「皇帝」を弾く!数年前のフェスティバルで第3番の協奏曲を取り上げたが、この時は聴きに行くことはできなかった。

CDでは、指揮者・オーケストラは違うが、内田さんの皇帝を聴くうえで参考になるだろうと思って聴いてみた。(チケットが取れるか確定していないが^^;)

内田さんのピアノは、美しいピアニズムで格調高く、構成感があるので聴き応えがある・・・。聴いた後の充実感が違う・・・。ザンデルリンクの指揮も、ピアノとの協調と、この曲が持つヒロイックな部分をしっかりと表現しており聴き応え充分。

この演奏も生で聴きたかった・・・という印象。今年のフェスティバルで再現なるか!!

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2006年4月23日 (日)

個性派4番!

先日、某外資系CDショップから輸入CDを注文して聴いてみた。

 ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」

フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮 シャンジェリゼ管弦楽団Her_bru4

 マーラー 交響曲第4番

ファビオ・ルイージ指揮 MDR交響楽団(ライプチヒ放送交響楽団)

サンドラ・トラットニッヒ(ソプラノ)Lui_mar4

ともに個性派4番!と言ったところか・・・

ブルックナーは、オリジナル楽器を使い、バロック演奏の大家が指揮したもの。

オーケストラも名前からして、生粋のフランスオケ。ドイツ的な重厚さとは無縁でブルックナーには不向きの感があったのだが、あまり良い演奏が少ない4番だったから食指が伸びた…というところ。

野人ブルックナーらしくない美音の演奏。しかし、音楽のフレージングや楽器バランスはまっとうで、良い意味味わい深い演奏でけっこう楽しむことができた。この曲で唯一ドイツ的な重厚さが現れる第4楽章。ここでも整理の効いた見通しの良い演奏で曲を完結させている。

マーラーの方。指揮者ルイージは、2007年からドレスデン・シュターツカペレに転進する予定となっているそうだ。演奏を聴くのは今回初めて。

遅めのテンポで、かつ要所においてさらにテンポを落とす。メルヘンチックな曲想がさらに助長されて夢心地にさせてくれる。何度も聴いてしまった。ただ、オーケストラに個性が乏しいので遅めのテンポの中、薄味になってしまう箇所があるのが残念。ドレスデンでは再録をしてもらいたいと思う。

第4楽章のソプラノソロ。有名な歌手ではないが、曲にあった爽やかな歌い方で好感を持てた。

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2006年3月18日 (土)

シベリウス

シベリウス 交響曲全集

レイフ・セーゲルスタム指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン)

ポリテック男性合唱団

ONDINEレーベルの輸入盤

sibelius先日上京した時購入したもの。シベリウスの交響曲7曲とヴァイオリン協奏曲、それに音詩フィンランディアを収録した4枚組。ONDINEレーベルはフィンランドのレコード会社。“シベリウスは御国物が良い”と言われるが、録音を含めた御国物は、このCDが初めてではないか。

入手してからしばらく聴いているが、なかなか感想が書けないでいた。聴くたびに、それまで気づかなかった部分が出てくる。そのため、ここに書く印象も、いずれ違う内容に変わるかもしれない。

一言で言えば、粗野で素朴で味わい深いシベリウス。必ずしも、美しさを求めていない。これはシベリウスの本質を捉えているかもしれない。基本的に素朴なシベリウスらしさを出しているが、要所で粗野でスケール感のある表現を加味している。

曲想にマッチした、粗野でスケールが大きい表現の第1番。さわやかで素朴な表現が美しい第3番、第6番、第7番。ヴァイオリン協奏曲はなかなか味わいのある良い演奏だ。第2番のスケールの大きさ、第5番の力強く北欧らしい雰囲気が良い。フィンランディアは男声合唱付という興味深いものだが、肝心の合唱があまり上手くない。第4番は、あいかわらず良く判らない曲であることに変わりなかったのでコメント無し。

シベリウスの全集はこれで4種類目(!)。その中でも、この全集は今後も良く聴くCDになりそうだ。

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2006年3月12日 (日)

若き日の神童モーツァルト

モーツァルト 初期交響曲集Ⅱ

ニコラウス・アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

mozart_2symモーツァルト生誕250年記念で進められている録音プロジェクト。ふだん聴く機会の少ない初期の交響曲集。Ⅰは未聴だが最新のⅡが発売されたので聴いてみた。

ケッヘルではなくて交響曲番号で言うと、15番から第27番あたり。番号無しの曲もいくつか。有名な第25番ト短調も収録されている。また、曲の合間に、モーツァルトと父レオポルトが故郷に送った手紙の朗読が挿入されている。この朗読は、アーノンクール自身と孫のマキシミリアンが担当している。ジャケットの写真もこのふたり・・・

演奏は、重心の低い響きを基調にして、アーノンクールの主張を効かせた刺激的な表現をしている。モーツァルトがまだ14歳から19歳までに作曲した曲。神童で若書きをしていたことはわかっていても、聴いたあとの充実感はとても未成年による曲とは思えない。もちろん、アーノンクールのスパイスが効いていることもその要因になっているのは間違いないが・・・。

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2006年2月26日 (日)

カルロス・クライバー!

ベートーヴェン 交響曲第7番

カルロス・クライバー指揮、バイエルン国立管弦楽団

(録音1982年5月3日、バイエルン国立歌劇場でのライヴ)

オルフェオ・レーベルの輸入盤

kleiber 以前、同コンビによる第4番のCDが発売されていた。そちらもコンサートライヴだったが、このCDはこのコンサートの後半に演奏されたプログラムの録音なのだそうだ。発売は昨年だったはず。4番の方は何年も前から発売されていたのに何故今頃に?・・・。録音上のキズ(会場ノイズなど・・・大して気にならないが)のほかは欠点はなく、演奏はとても素晴らしい!

7番はウィーン・フィルとの録音があるが、バイエルンの方がよりいっそう熱気溢れる演奏。CDには、演奏前後の拍手も収録されているが、演奏前の拍手から既にブラボーが・・・!これは熱演だった前座4番の余韻が残っていたのか!と勝手に推測。音楽はカルロス流のリズミックで常に前に前進していこうとするもので、極めてテンションが高い。ところによっては前のめりになって単調な部分もあるけど、分厚い弦楽器の響きと木管楽器ソロの美しさ(4番の録音もそうだった!)は特筆に値するものだ。カルロスがただ引っ張っていくだけではなく、オケ の自発性と言うものが随所にあった。この演奏、ほかでは聴くことができない音楽を縦横へ立体的に見せる構築、がされていることが大きな特徴かと感じている。

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2006年2月19日 (日)

ザ・グレイト

シューベルト 交響曲第9番「ザ・グレイト」

サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

rattle_schbertラトルの最新録音。これまでのレパートリーから見れば、シューベルトは珍しい。私自身も久しぶりにシューベルトの交響曲を聴いた。

ラトルらしく、不思議な演奏・・・。

以前聴いた第9(合唱付)のように細部の構築とニュアンスに富んだ演奏で、次に何の仕掛けがあるか、楽しんで聴いていた。しかしドイツ的な重厚さはなくて、これがシューベルト?と言う部分もある。

気に入ったところは、冒頭のホルンと序奏の部分。ジャケットにも紹介されていた、 作曲時にシューベルトが訪れたという“トラウン湖ほとりの風景”を彷彿する雰囲気を持っていると思う。

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2006年2月 4日 (土)

ニューイヤーコンサート2006

ウィーン・フィル、ニューイヤーコンサート2006

(マリス・ヤンソンス指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)

newyearconsert2006元旦のNHKの生中継、毎年楽しみにしている。今年は珍しく総合テレビでの生中継だった。2006年は初登場のマリス・ヤンソンス。彼の指揮 は実演はもちろん、CDも持っていないので、どんな演奏をする指揮者か知らなかった。そうした中での元旦の中継を見たわけだが、もともと、ウィーン・フィル十八番のプログラムが並べられて、指揮者の個性が出にくいコンサート、娯楽的な感覚で見ていたのだが、モーツアルト生誕250年の年でもあり、前半では「フィガロの結婚」序曲や、モーツアルトのパクリの曲であるワルツ「モーツアルティアン」・・・後半では指揮台で携帯を鳴らすやら、ピストルを撃つやら、ちょっと過激な演出があって、けっこう楽しめた。ふだん、ニューイヤーコンサートのCDは買わないのだが、そうした楽しめた部分を反芻しようと買ってしまった。

さてCDの方であるが・・・

録音状態はいまひとつで、テレビで見た印象とは違う気がする。やはり視覚効果の有無は大きいのか?

前半やや堅さがある演奏だったが、2部から気分も乗ってきたようだ。ウィーン・フィルの音色も後半の方が艶やかに響いていた。

前述の、パクリの曲・・・ワルツ「モーツアルティアン」、「芸術家カトリーヌ」、ワルツ「親しい仲」は、お祝い気分のこのコンサートに演奏するのは良い選曲だろう。また、ポルカ「電話」では、わざとらしく携帯電話を鳴らすし、アンコールの「山賊のギャロップ」ではピストルを撃つし、いつものチープな演出からちょっと踏み込んだ仕掛けもこの録音からしっかり伝わった。テレビとは違う感覚で楽しめたCDだった。

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